てつこはじと目でなにを見る?

おかしな家で育ったおかしな娘が書く読み物

うさぎは寂しいと死んじゃうんだよ、だと???

てつ母は

「うざぎは寂しいと死んじゃうんだよ」

とよく言っていた。

 

てつこが物心ついたとき、もう既に夫婦喧嘩の絶えない家だった。

大声でわめき、皿が割れ、悲鳴が近所に響いて、パトカーが度々来た。

 

てつこは小さいときから外で同世代の子と遊ぶのが苦手だった。

外で何をして遊べばよいのかわからなかった。

たまに仲良くなった子がいると、あの子はだめよと咎められた。

なぜかはわからなかったけど、歯向かうことはしなかった。

 

てつこは、てつ母の機嫌を損ねてはいけないと知っていた。

 

小学校に上がると、てつ母は家から出ること自体を咎めるようになった。

お友達よりも習い事を優先するように言われた。

中学校ではてつ母はどんなことでもてつこに相談するようになった。

高校に入ると、てつこはてつ母の良き飲み友達になった。

 

 

大人になり、てつ父もてつ母もそこに繋がる全てを捨てたてつこは、ふと気づいた。

一人だ。

私は、一人だ。

あぁ、なんだか、とても寂しい。

何をしても、誰と喋っても、心がスカスカで埋まった気がしない。

 

自分だけが寂しいうさぎちゃんだ(T.T)