てつこはじと目でなにを見る?

おかしな家で育ったおかしな娘が書く読み物

てつこはやせ細った男が嫌い、なせばらば。

てつ父は恐ろしいほどに

瘦せていた。

 

てつこ自身は結構太っていた。特に子供の頃。

てつ母と一緒に、3時のおやつにケーキをホールではんぶんこして食べて、

夜にてつ父の準備する夜ご飯を食べていた、そんな毎日だった。

 

てつ父は以前からごはんは食べなかった。

お酒をそれはさぞかしよく飲んでいた。

 

お酒を飲むと目が座り、てつ母やてつこが喋りかけても返事はなかった。

あっちに行って、戻ってこなかった。

私の夜ご飯を用意して、役目を果たしたと思った瞬間から飲んでいた。

てつ母はそんなてつ父が嫌だったらしく(そりゃそうだろう)、

一緒の食卓につくことはなかった。

 

私は黙々と用意されたコンビニやお弁当屋さんのごはんを食べた。

 

てつ父はお弁当を並べた後、お酒を飲み始め、目がうつろなまま夜を過ごした。

 

てつ母はてつ父に怒りをぶつけ、物を投げ続けた。

 

 

てつ父は年々やせ細っていった。正直、てつこより体重は下だろう。

 

てつこは縁を切った今でも、街中で細い男性の後ろ姿を見るとどきっとする。

「もしや・・・てつ父?!」

痩せている男性の姿が、てつ父と重なって心臓を波打たせる。

追い抜いて顔を見て『違う』と確認するまで、心臓はどくどくと波打つ。

 

てつこよ、

てつ母に精神的にも肉体的にも傷つけられた、てつ父を見捨てるのか。

精神病院にまで入ったてつ父を、お前は見捨てるのか。

 

なぁ

てつこよ、

お 前 は 両 親 を 見 捨 て る の か ?