てつこはじと目でなにを見る?

おかしな家で育ったおかしな娘が書く読み物

てつばあ との思い出

てつ母の母、てつばあ はてつこの面倒をよく見ていた

 

てつこがまだまだ小さい頃

てつ父は会社に行っていたし、てつ母もパートをしていた。

両親不在にするときは てつばあ が朝来て家事をしててつこにお昼を食べさせた。

 

てつばあ は田舎の農家出身ということもあってか、

煮物や和風の汁物とかお魚料理とかが得意だった。

派手な洋食ではないけれどもどの料理もおいしかった。

てつこが一番好きだったのは、焼きおにぎり。

てつばあ のおにぎりは完璧な「おにぎり三角形」だった。

更にそれに醤油や味噌を塗ってグリルで焼いてくれた。

お昼を食べたら近くの公園や河原に連れて行ってくれた。

春は花を摘み、夏は川辺でザリガニを釣って、秋はムカゴを拾って、冬は…さすがに家にいたかな。

 

てつこが大きくなり、てつばあ と てつじい の家に遊びに行った時も

大きな食卓テーブルを奥から出してきて、

そこいっぱいの料理が並んだ。

どれもおいしかった。

それでもてつこは焼きおにぎりをねだって、作ってもらった。

 

てつこはたまーにおにぎりを握る。

どうしても「おにぎり三角形」にはならなくて、俵になってしまう。

その度に てつばあ のことを思い出し、コツを聞いておけば良かったと後悔する。

 

 

てつ母はよく文句を言っていた。

てつばあ は本当にひどい母親だった。

てつばあ のせいで私の人生はめちゃくちゃになった。

てつばあ にはもっと償ってもらわないと困る。

 

てつばあ は大分歳をとってからもアルバイトを続けていた。

てつこは薄々気付いていたし、大人になって確認した。

てつばあ は毎月たくさんのお金を振り込んでくれていた。

たくさんのブランド服が部屋いっぱいに溢れていて、

立派なホテルのスイートルームに何泊もして、

高級フルーツが毎月毎月届けられるのは

それがあったからなのだ。

 

てつこはそんな大人たちのお金のやり取りなんて知らんぷりしていた。

ただ、てつばあ が作ってくれる料理は残さずおいしく食べた。

てつばあ が本当に心から喜んでくれたから。

 

それで罪滅ぼしになるのなら

いくらでも食べるよ。また焼きおにぎり、作ってくれないかな。