てつこはじと目でなにを見る?

おかしな家で育ったおかしな娘が書く読み物

父への身体的暴力と、てつこへの心理的な暴力(2)

蹴りから始まったてつ母からてつ父への身体的暴力は

殴るのも加わって悲惨を極めた。

 

てつ父は逃げるように寝室からダイニング、廊下、と寝床を変えた。

そして行き着いたのは物置部屋だった。

てつ母が5着・10着…と買いだめした洋服や靴やバックなどを置いてある部屋。

誰も掃除せず洋服ケースが積みあがっていくだけなので、

その辺の物置より雑然として埃っぽかっただろう。

しかも夏は蜘蛛が出て、冬はめちゃくちゃ寒い。

そんな物置部屋がてつ父の最終的な寝床となった。

 

冬の時期だった。さすがに寒いのでてつ父は電気ストープを足元に置いて寝ていた。

ある日。起きてきたてつ父の足を見て、てつこはびっくりした。

大きく真っ赤にただれたふくらはぎ。

どうしたの?!と聞くと、ストーブに足をくっつけてしまいヤケドしたとのこと。

てつ父はヘラヘラと大丈夫大丈夫、と言って結局病院には行かなかった。

 

・・・どうして、

どうして、てつ父はこんな目にあっているんだろう???

 

どうしててつ父はこんな所で寝ているんだろう???

 

 

ただただ『かわいそう』と思うだけだった。

仕事から帰ってきて娘と嫁にご飯を用意して、

その嫁にはまずいだの何だの文句を言われて蹴られ殴られ、

それでも洗濯や掃除をさせられて、

夜あんな汚い部屋の床で寝させられて。

 

毎日どんな気持ちで夜を迎えていたのだろう???

 

毎朝目が覚めたら疲れや悲しみは取れていたのだろうか???

 

そんなことを考えると、てつこは今でも涙が止まらない。

 

十年も二十年も経った今でも、こんなにも鮮やかに思い出す暴力の日々。

当時のてつこは「怖い」「かわいそう」「何とかしたい」などと

ただひたすら戸惑いながら、あの暴力を目の当たりにしていたからなのだろう。

脳裏に焼き付いて離れない。

蹴る鈍い音が耳にこびりついて消えない。

 

もしも

 

『あの時てつこに何かできたなら。』

 

そんな後悔がずっとずっとずっと頭から消えてくれないのだ。

 

そして

そんなかわいそうなてつ父をてつこは

 

  ゜

 

 

 

いずれも子どもの立場であるてつこの務めではない。

そんなこと、わかっている。それでも、、、それでも辛いものは『辛い』。

どうかこんな夫婦が・こんな家庭が1組でも減ってほしい。切実に。