てつこはじと目でなにを見る?

おかしな家で育ったおかしな娘が書く読み物

腹が減ったら食えばいい。眠くなったら寝ればいい。泣きたくなったら泣けばいい。

数年前まで、一人家にこもって電気もつけずにただひたすら泣く日々だった。

きっかけはちょっとしたことだ。

会話していた相手が一瞬嫌な顔をした、何か気に障ることを言ってしまったのではないか。

仕事で軽いクレームを受けた。自分の人格を否定された感覚になった。

気に入らない出来事や嫌味を言われて癇に障った。

等々。

ふっと考えが頭をよぎると、途端に涙がぽろぽろと出る。

目がしょぼしょぼして頭も痛くなってくる。

それでも10分20分と泣き続ける。

頭が真っ白になっていく。

涙が一瞬止まると真っ白だった頭の中に、みじめだ、寂しい、苦しい、と負の感情が沸き起こる。

そしてまた泣く。

 

今思えば涙がぽろぽろと出始めた時、

「泣いてはいけない」

「泣くなんてみっともない」

と感じて必死で涙を止めようとするてつこがいた。

泣いてしまうことで負の感情のループにハマることがわかってはいるので、それも嫌で泣くのをやめようとしていた。

 

泣くことは辛いし恥ずかしいしダメなことだと決めつけていた。

 

てつこは本当の気持ちを表現するのが苦手だ。

おいしくなくても「おいしい!」と言ってしまう。

嫌な相手にもペコペコと下手に出てしまう。

やりたくなくても引き受けてしまう。

頭の中で色々考えて思って結論が出ていても、それを言葉で発することができない。

表現することで予期せぬ反応が返ってくることが、とても怖い。

 

だから涙が出てくるのだろう。

身体が本当の気持ちを出そうとしてくれているのだろう。

嫌なとき・悲しいとき、それを我慢しないで素直に出すこと。

それを心でなく身体が実践してくれている。てつこの場合。

己の身体に感謝せねば。

 

最近そんな風に考えられるようになってきた。

そのおかげが、くら~い部屋でめそめそすることが減ってきた。

「よっしゃ、泣いたるで!」

と負の感情を迎え撃つ気満々なのだが、

不思議なことに泣くほどショックなことも減ってきた。

物事の捉え方も少し変わったのだろうか。これはとても嬉しいことだ。

 

てつこの中にいる、ずっと泣いていた昔のてつこ。

それを受け入れ、癒していく。

これがインナーチャイルドというやつか。

心理学やスピリチュアルには詳しくないてつこだが、

なんだかその考え方が少しわかった気がする。