てつこはじと目でなにを見る?

おかしな家で育ったおかしな娘が書く読み物

頭痛がする中、超仲良かった友人への悔いを思い出し、また痛くなる。

台風がきている。

気圧がすごく下がっているらしい。

すると体調も悪くなる人がいるという。

最近、言われてみればそうかもしれないと思う。

現に今、朝からずーっと鼻づまりとくしゃみがひどい。花粉症みたいだ。

気になってネットを見てみると、寒暖差アレルギーとか

低気圧で鼻づまりとか色々あるらしい。なるほど。。。

 

鼻がつまっているせいか頭も痛いのである。参った。

体調が悪くなると自然と嫌なことばかり考えてしまう。

 

昔々、てつこにはえっちゃんという友人がいた。

えっちゃんは言葉も目つきも悪い女の子だった。

背は小さいがガラの悪さのおかげで存在感のある子だった。

でも話してみるとユーモアがあって、ケラケラと明るく笑う子だった。

てつこはえっちゃんとすごく仲が良かった。

当時流行りの歌やお笑いやテレビの趣味が合い、意気投合したのだ。

遊びにでかけてはバカ騒ぎをしたり、学校でもつるんでは

ギャーギャー騒いだり、てつことえっちゃんはお互い自然体で接していた。

 

だからお互いの家のこともちょっとずつ話すようになった。

えっちゃんの家も色々とあったようだ。

てつこはそんなにぐいぐい聞く方ではない。

えっちゃんも嫌なことを自分から話す方ではない。

それでも、お互いの家が「良い家ではない」ことは知っていた。

知るにつれ、より仲が良くなった。

 

てつことえっちゃんは別々の大学に進学した。

それでも最初の頃はちょくちょく会ってはバカ騒ぎをした。

が、段々とその機会は減っていった。

てつこが心の体調を崩し始めたからだ。

人と喋るのが億劫になり、何もかも嫌になり、自傷をし、ご飯も食べず、

孤立するようになっていった。

えっちゃんからのメールや電話にもあまり出なくなった。

それでもえっちゃんは連絡をしてきてくれた。

 

連絡を取り合う頻度が少なくなってきたある夜。

えっちゃんから電話があった。最近どう?とたわいもない話をする。

てつこはえへへ元気よーなんて言いながら誤魔化していた。

えっちゃんが突然言い出した。

「なんかさー、時々声が聴こえるんだよね」

へぇ、そう、とてつこは答える。声???

「今家に帰ってる途中なんだけどさ、例えば今とかも色んな声がする」

何言ってんの、んなわけないだろwとてつこは返して、電話は終わった。

 

その後もえっちゃんは声が聴こえると電話の度に言う。

家族への文句もひどくなっていた。

声のトーンも以前より低く元気がなかった。

夜中によく電話がかかってきて、どうやら夜中に家に帰っているようだった。

なにより心配だったのは、家族の一部から暴言をはかれているらしかった。

 

もしかしたら、えっちゃんは精神的に疲れていたのかもしれない。

でも、当時のてつこには心配する余裕がなかった。

てつことえっちゃんは同時期に疲弊していた。

 

自然と二人のやり取りは途絶えた。

てつこの方から連絡を謝絶してしまった。電話にも出なくなったのだ。

だからえっちゃんが元気になったのか、

今何をしているのか、わからない。

 

夜中に電話をくれる友人を無視したことを、今すごく悔いている。

確かにてつこに余裕はなかった。

けれど、えっちゃんもきっと余裕がなくなってきていた。

「声が聴こえる」と言われたとき、実はてつこはぞっとしたのだ。

自分と同じ症状だ、と。

そして、自分が面倒なことになっているのに、

友人まで面倒な状態になってしかも心配してあげないといけない…

そう思うと怖かったのだ。嫌だったのだ。

彼女のつらさに共感すること、それだけのことなのに嫌だった。

 

えっちゃん、ごめん。

本当に。

またバカ騒ぎしたいよ。