てつこはじと目でなにを見る?

おかしな家で育ったおかしな娘が書く読み物

洗っても洗っても落ちない「私はダメな奴だ」「なんて情けない奴だ」という『汚れ』

腸炎を起こし有給を取った。

上司に電話をして軽い引継ぎを伝えた最後、

明日も…休んだら?と声をかけられた。

 

それを聞いた瞬間、泣いてしまった。

 

心配されて嬉しかったのではなく、嫌味で言われたわけでもなく、

ただただ自分の情けなさに泣いた。

今年に入りちょくちょく体調を崩している。

実際に身体に症状が出てしまい、1日2日と休むこともあった。

上司もそれを知っており、心配して無理するなと言ってくれだけであろう。

 

今のてつこには、それすら自分を責め立てる言葉に聞こえてしまった。

「いい加減に体調戻しなさい」

頭の中でそう響いてしまったのだ。

 

明日も休んだら、てつこは『普通』の状態になるのだろうか。

だったら有給なんて使い切ってやる。

同僚に多少の迷惑をかけても、一人欠けたくらいで回らなくなる職場でもないし。

でもきっと明日はてつこは出社する。

 

家で一人、テレビを見ながらひたすら水や味噌汁を飲む。

こういう時、思い出すのはてつ家のこと。

てつ母も病弱だった。

倒れたてつ母に布団をかけたり水をあげたり看病したこともある。

その内「私は重い病気だ」と言いつつ、

「てつちゃんのために入院しないで薬で治してるのよ」と言われた。

てつこが、自分のことはいいからちゃんと入院して治せばいいと諭すと烈火のごとくキレた。

なぜ入院しないのかは最後まで理解できなかった。

そして彼女が何の病気なのかもよくわからなかった。

 

一人でいるとこんな思い出ばかり蘇る。

かといって、誰かと一緒にいるのも相手のことが気になって疲れてしまう。

 

常に疲れているのが身体にも良くないはずだ。

てつこなりに食事に気を遣ったり早く寝たり、外に出たり温泉に行ったり…

それでも体調や心を崩す。

ここ何年もずっと体中を洗っているのに『汚れ』が取れない。

ゴシゴシと赤くなるまでこすっても取れていない気がする。

頭の片隅では取れないことを理解しているのに、洗うことをやめられない。

そして『汚れ』が症状として身体に出てしまった時、

また「あぁ、私は体調管理もできない情けない人間だ」と思ってしまう。

 

完璧にキレイでなくていいんだろう。

でもやっぱり、『あの二人』よりはキレイでいたい。

そんな余計な価値観を今すぐ捨てられたら楽になれるだろうか。