てつこはじと目でなにを見る?

おかしな家で育ったおかしな娘が書く読み物

他人に優しくする、という”欠点”

昨日までは楽しく買い物をしたり前向きに家事をしたりと

安定している一方、

「あ、なんか不安ちゃんが顔を出し始めている…」と

感じてからあっという間に気分が落ち込んだりと、

なかなか安定しない。

そんな中ふと思ったことがある。

それは「『優しい』というのは欠点にもなる」ということ。

ありがたいことに、てつこは他人から

気持ちが優しいと言われることがある。

それはとても嬉しいことで、てつこの長所でもあると思う。

 

昨晩から、ある一言を思い出していた。

「お父さんに連絡してあげなよ。」

先日のお葬式で知人たちから言われた言葉だ。

てつ父とは久しく連絡を取り合っていない。

そのことをポロリと言ってしまい、心配した知人たちが

そうてつこにアドバイスしたのだった。

 

てつこはそのアドバイスを聞き入れる気はない。

てつ父側から連絡が来ない限り、てつこからリアクションをとることはない。

嫌いだからとか憎んでいるからとか、

単純な感情で説明できることではない。

複雑でどろどろとした感情が入り乱れて、考え抜いた結果だ。

 

さらにてつこは考える。

そもそもなんでてつ父と連絡を取るのを自分は嫌がっているのだろう。

・・・

あぁ、そうか。

『あの頃』を思い出すのが嫌なんだ。

みんなが悲しんで、つらくて、泣いていたあの日々を

思い出すのが嫌なんだ。

そう思うと自然と涙が出た。

父も母も、相当つらかっただろう。

今この歳になれば、多少はわかる。

もっと幸せになりたい。

だから自分なりに努力してみたけれど、上手くいかない。

そんなもどかしさと悲しさが彼・彼女を支配していただろう。

てつこはまた泣いた。

 

そこではっと気づく。

てつ父とてつ母に想いを馳せても、もう何にもならないんだ。

全ては終わったこと。取り戻すことはできない。

 

あんなに憎かったてつ父とてつ母に対して、

こんなに涙を流すなんて、てつこって本当に優しい奴だな。

心の中でちょっと笑った。

だけど。

だけど、その優しさは少し忘れてもいいんじゃないか。

今はそれどころじゃないはずだ。

自分の感情を取り戻すのに集中した方がいいんじゃないか。

もう一人のてつこが諭した。

 

他人に優しくして、自分のことは無頓着。

そんな性格はダメだよなぁ。

マザーテレサじゃないんだから、並の人間であるてつこは

もっと自分に優しくしないとダメだよなぁ。

 

そんなことを思った一日でした。