てつこはじと目でなにを見る?

おかしな家で育ったおかしな娘が書く読み物

しにたい気持ち と いきたい気持ち

少しずつ過去の出来事を書き出してみようと思う

 

 

てつこが小学生の頃だった

毎日目の前で突発的に起こる夫婦喧嘩(といっても妻→夫の一方通行)と、

自分の部屋にてつこが逃げ込んだ後 聞こえてくる叫び声と汚い言葉に、

精神的に参ってしまった。

怖くて怖くて毎日泣いていたから。

 

ぼんやりとピンクの物体が目に入った。

あ、なわとび。

そう認識したてつこは、二段ベッドの一番上の手すりにくくりつけた。

先っぽに輪っかをつくり、頭を入れた。

 

ばちーん!

 

頭の重さがかかった瞬間、手すりからなわとびが外れて自分に跳ね返ってきた。

い、痛い…

二重跳びを失敗してビニール製なわとびがすねに当たった痛さ。

てつこは情けなかった。

そもそも、手すりになわとびをくくりつけたとき、手が震えて固く結べなかった。

いや、意図的に結ばなかった。

しぬのが怖かった

こんなことをしといて、恥ずかしかった。

いつもの半狂乱の声を聞きながらいつも以上に泣いた。

 

ひとしきり泣いた後ふと気付いた。

いがいと しにたいとおもったら いつでもしねるのかもしれない…

てつこは突然、前向きなのか後向きなのかわからないが、そう閃いた。

生きることについて、てつこなりに望みをつなげたのだった。

 

てつこの目つきが鋭くなり、会う人皆に「なんで怒ってるの?」と聞かれるようになったのは

今思えばこの日以降だったかもしれない。

難しいことは考えずに子どもらしく両親をただ信頼していたてつこは、

生きようと思った代わりに、憎しみとか恥とか諦めとか、

まだ知らなくても良いことを覚えてしまった。

 

この日のことが良いのか否か、今のてつこ自身にもよくわからない。