てつこはじと目でなにを見る?

おかしな家で育ったおかしな娘が書く読み物

会社の研修で、生い立ち語るのやめません?

ここ数日リクルートスーツの若い人が多いなぁと思っていたら、

そうか内定式だったのか、とてつこは合点がいった。

 

以前から思っていたが、新人研修やら節目の研修やらで

自分の生い立ちを振り返らせたり家族を語らせたりするやつ、勘弁してほしい。

てつこが今まで受けた研修では結構そういうことがある。

 

ある研修で、自分の生い立ちを0歳から当時の歳までをグラフ化して発表しなければならないことがあった。

てつこの幼少~高校時代なんて暗黒期。

高校時代に両親が離婚して、大学卒業時には両親と絶縁。

ようやく一人の人間として生きてきたばかりなのに、何を懐かしく語れと言うのか?

嘘で誤魔化しても仕方ないと思い、やんわりと正直にグラフを書いた。

ずーっと低迷していて親の離婚辺りから上向きになるグラフ。

そしてみんなの前で発表。

 

講師「はい、では次はてつこさんでーす!」

てつ「・・・はい。

   えーっと・・・、子どもの頃はいいことなくてずっと暗黒時代でした」

(みんな笑う)

(↑たぶん言い方が突拍子もなかったので笑ったと思われる)

てつ「で、えーと・・・

   高校の時色々あって家がなくなりまして、別れたとゆーか。」

(しーん)

てつ「で、色々あってこの会社に入社して・・・がんばってます!」

講師「(なんかやべぇ奴出てきちゃったなという気まずい顔)

   ・・・あ、ありがとうございました!」

パチ…パチパチパチ…

(タイミングのずれた拍手)

 

離婚した、ってだけで完全アウェイ。

 

そんなんでどうやって、てつこの生い立ちを受け止めてくれるのか。

幸せな家庭の話しか想定してないんなら、最初からそう言えやバーロー。

結構傷ついたぜ、バーロー。

 

この時の講師の表情をよく覚えている。

発表時の戸惑うてつこの目を見て、「あっ」と何かに気付いた表情をしていた。

研修の休憩中に、辛いことを言ってくれてありがとうと声をかけられた。

感謝されるようなことではないんだが。

何人も見てきてるんだろうから、てつこ以外にも似た境遇の人はいるであろうに。

 

今の学校生活にも「二分の一成人式」というやっかいなイベントがあるらしい。

てつこが子どもの時にも、家族に感謝する的な作文や授業参観はあったし、今でもあるのだろう。

 

そういうの、やめませんか?

 

家族に感謝する、親を尊ぶ、それは真っ当な教育であり自然なこと。

でも「幸せな家庭が普通なんです。そうでないといけないんです。」と決めつけて

イベントに仕立て上げて皆に強制参加させるのって、

参加させられた一部の不幸者たちはどんな顔をしていれば良いのやら。

そもそも『私の家は幸せなおうちです!』って心から言える人っているのかな。

そんなに皆理想を追い求めないで、淡々と家族を話せばいいじゃないですか。

 

みんな色々抱えてる。

抱えていることを吐き出して、解決して、成長したいなら、

もっと素直に等身大でやればいいじゃない。

 

てつこはリクルートスーツを見ながらそんなことを思った。

若者よ、変で面倒でおかしな研修に参加させられても、やり過ごすんだよ。