てつこはじと目でなにを見る?

おかしな家で育ったおかしな娘が書く読み物

酒が二人を取り持つならば、もっと早くに気付きたかった

 てつ家の3人は基本酒が強い。

てつ母はワインが好きだった。

てつ父は焼酎が好きだった。

てつこは何でも好きだった(かつ現在進行形)。

 

中でもてつ父は強かった。

25度や30度の焼酎をそのまんま飲んだ。

1.8Lの大きな紙パックを小分けにして飲み始め、

段々と1日2日で飲み干すようになっていった。勿論毎日酒臭かった。

 

てつこは不思議だった。

幼馴染の友達の父親はよく酔っぱらってふらふらアパート周りを歩いていた。

しんどそうだったが、すごく楽しそうだった。

「おぉーい!てつちゃんだねぇぇぇぇ、へっへっへ」と陽気だった。

酒臭いので近寄らなかったが。

 

てつ父はその父親とは正反対だった。

超陰気だった。

いつも以上に喋らなくなった。

そもそも、家で一人で酒を飲んで誰とも喋らないしてつ母も怒るしで楽しいわけがない。

座ったまま遠くを見て、時々寝ている。一歩も動かない。

なんで誰かと飲んだり外で飲んだりしないんだろう?

てつこは不思議だった。

 

 

てつこは一人で家飲みしていて、ふと思う。

てつ父も寂しかったのかなぁ、と。

 

一人で飲んでいることが寂しいのではない。

ただ、今までこうやって生きていることが寂しくなって、酒を飲む。

酒を飲んで時間がぼーっと過ぎていくのが落ち着く。

そう、時間の無駄遣い。

時間が欲しいと思っている人に是非分けてあげたい。

 

てつ父も子どもの頃、色々経験してきたらしい。

ずーっと心が満たされないまま、家庭を持ってしまったのだろう。

 

のんべえは意外と何も考えていない。

ただ酒を飲んでいるだけが多い。

その人の色んな背景や悩みや感情があるし、ビジネスな酒やリア充な酒とかも

あるのでみんなが何も考えてないわけではないが。

少なくとも、今のてつこと昔のてつ父は何も考えずに酒を飲んでいる。

 

てつこは一人になって初めて、てつ父の一部分を理解できた、気がする。